SEとして働く中で「このままでいいのか」と感じる人は少なくありません。
実際、株式会社サーバーワークスの調査(2025年1月14日~1月20日実施)では、約4割のエンジニアが転職・転職活動を検討していると回答。また、株式会社ダイレクトソーシングの調査(2023年12月実施)でも、ITエンジニアの7割が転職を前向きに考えていることがわかっています。
こうした背景には、AI技術の進化や働き方の多様化、将来への不安などが影響していると考えられます。
本記事では、SEの転職が一般的になってきた現状と、よくある転職理由、その効果的な伝え方について解説します。
出典:サーバーワークス、ITエンジニアの働き方に関する2024年振り返りおよび2025年予測の調査結果を公表|サーバーワークス
出典:【2024年最新版】ITエンジニアの意識調査結果(転職・キャリア編)|株式会社ダイレクトソーシング
【本音】SEの転職理由5つ
IT業界の需要は高まっている一方で、SEとして働き続けることに不安を抱える人は少なくありません。
特に20代〜30代のSEの間では「このままの働き方でいいのか」と悩み、転職を検討する人が増えています。
この見出しでは、SEの様々ある転職理由のうち主な理由を5つ紹介します。
「転職に対して漠然とした不安がある…」という方は、「【元SEの体験談あり】SEが転職を怖いと感じる理由と、不安を乗り越える方法」を読んでみてください。
①給与や待遇への不満
SEの中でも下流工程をたんとうしていたり、SES・派遣として客先に常駐したりしている2次請けのSEなどは、高い給与が見込めないことも多いため、不満は溜まりやすくなってしまうでしょう。
それだけでなく、多様な働き方が普及していることもあり福利厚生の充実度や評価制度の透明性なども、不満に直結してしまう材料です。

ちぇるのSE時代の勤務形態は何だった?

僕もSESとして客先常駐だったよ!
僕自身、今まで自分の会社の人2〜3名と共に、客先常駐で元請けの大手SIerの方と同等の業務量をこなしてきました。ただ、給与は自分の会社基準の給与形態のため、月日を重ねるごとに「同じ業務を行なっているのに、会社が違うだけでなんでこんなに給与に差があるんだろう」という不満が大きくなりました。
そんな時に、友達との給与の話になった際、昇給による伸び率やものの2〜3年で給与に大きな差がついてしまっていることを知り、「自分はこのままではいけない!」と危機感を感じ転職に踏み切りました。
②業務内容への不満
希望していた開発業務に携われず、運用保守やテストが中心になってしまうケースや、自社開発のエンジニアとしての働きを希望していたのに、客先常駐がメインだったというミスマッチも少なくありません。

ちぇるは業務へのミスマッチとかはあった?

うん、僕はシステム開発を希望していたのに、初配属案件は保守案件だったよ。

そういうミスマッチってあるんだね、、、
実際に不満ってあった?

まずは開発案件に携われていないことだね。そして、その案件が人手は足りていたため、やることや振ってもらえるタスクが全く無い環境だったから、より不満は大きかったよ。

挙句の果てには、上司から「自分でマクロの参考書を買って、自席で勉強をしておいて」と言われ、自社メンバーから一人離れた島の席で放置プレイだったのは正直堪えたね、、、
僕は、新卒研修を終えて半年以上その案件に従事していたにも関わらず、ただの雑用作業者として使われているだけで、「人手が足りていて空きがない」からと最後までなんの運用保守も任せてもらえませんでした。そのため、その案件への知識や実務スキルは一切身に付かず、強い焦りを感じたのを覚えています。
新卒や若手の場合は、まずは運用保守を経験してから、徐々に開発や要件定義などの上流工程に上がっていくというキャリアを用意している企業も多いです。
それを認識していたとしても、運用保守の期間が長かったり、開発案件が客先常駐しか無い企業や、例外ですが僕のような状況では、将来への不安や成長を実感できず徐々に不満は大きくなっていくでしょう。
③キャリア形成ができない
チームのマネジメントやプロジェクトマネージャー、ITコンサルタントなど下流工程の業務から上流工程の業務へ関わっていきたいという人や、新しい技術を習得していきたいという人が多くいます。
最近ではAIが普及しているためそれに関連する技術や、変化の早い業界なので新しい言語を学び身につけていきたいという人も増えているでしょう。
ただ、大手企業や昔ながらの風習を大切にしている企業では、年功序列を踏襲していたり、希望するポジションがなかなか空かなかったりすることが考えられます。
さらに、従事している案件によっては特定の言語しか使っていないため、新たなスキルの習得・活用ができません。
そのような環境だと自身のキャリアアップが見込めないので、転職をする方が多くなってしまいます。
④労働時間の長さや休日出勤がある
SEでは、システムの開発中に高稼働になることや、夜間対応があることは珍しくありません。また、突発的に障害対応で勤務しなくてはいけなくなるなど、生活リズムへの影響も大きい職場もあります。
このような働き方が、事前に聞いていた話と乖離していたり、今後のライフプランを考えた時にこの労働条件下では長く働けないと考え転職を決断する人も多いでしょう。
僕の場合、運用保守案件では隔週の休日に夜間対応がありました。それだけでなく、休日出勤やシステム障害の際の緊急出動などで、生活リズムが大きく崩されるため、僕は度々体調を崩してしまっていました。
そのためイレギュラーな勤務がとにかく嫌だった僕は、人事考課のたびに開発をしたいと伝え、4案件目にしてようやく開発案件に移ることができました。
運用保守では夜間対応が発生するのはどうしても仕方のないことなので、この点に不満を持っている人は、転職をしなくても案件の異動のみで不満が解消される可能性があります。
他に大きな不満がない場合は、上司に案件の異動を申し出てみてはいかがでしょうか。

あの頃は残業が多かったり深夜対応があったりするのに、給与低かったなぁ
⑤人間関係への不満
SE職はチームでの業務が多いため、上司や同僚、場合によってはクライアントとのコミュニケーションが必要になります。しかし、職場の雰囲気の不一致やコミュニケーションの取りづらさがストレスとなり、転職を考える要因になるケースは少なくありません。
SEの業務では、機能ごとに分担して少人数で開発を行ったり保守したりすることもあるため、密にコミュニケーションを取る人は限られることもあります。
SEの業務では、機能ごとに少人数に分担した上で、個人個人で業務を行うことも多いため、コミュニケーションを取る人が限られたり、孤独を感じやすいこともあります。
その限られたメンバーの中に苦手な人がいる場合や、密にコミュニケーションを取りたい場合は、風通しの良い環境を求めて転職を検討するのは、ごく自然な流れといえるでしょう。
【例文付き】退職理由はポジティブに伝えることが重要
転職活動では、ネガティブな退職理由の場合は、ポジティブな表現にして伝える必要があります。
面接では自分の考えを正直に伝えた方が良いと言われますが、なんでもかんでも本音をそのまま話すとネガティブな印象を与えてしまい、採用が見送りになってしまいます。
ここでは、前項の「【本音】SEの転職理由5つ」それぞれの、実際に使える例文を紹介します。面接対策として、自分の転職理由をもとにこちらを参考にしながら準備を進めましょう。
①「給与や待遇への不満」の言い換え
この不満はそのまま伝えると「お金のことしか考えていないのか」「本当にうちの会社に貢献してくれるのかな?」と、面接官に不安要素を与えてしまうことになります。
転職理由は、前向きな姿勢と成長意欲を軸に言い換えることが大切です。これまでの経験を活かして、より成長できる環境を求めていることを強調しましょう。
成果が評価されにくい制度の中でモチベーションの維持が難しく、より実力を正当に評価してもらえる環境で働きたいと考えました。今までの実績を活かし、さらに貢献できる環境を求めて転職を決意しました。
【例文】
成果が評価されにくい制度の中でモチベーションの維持が難しく、より実力を正当に評価してもらえる環境で働きたいと考えました。今までの実績を活かし、さらに貢献できる環境を求めて転職を決意しました。
②「業務内容への不満」の言い換え
事前に伝えられていなかったとしても、「成長意欲」や「方向性のミスマッチ」など前向きに伝えることが重要です。希望する分野にチャレンジしたい、自分の強みを活かしたいという意志を明確にして、ポジティブな印象を与えましょう。
【例文1】
保守案件を中心に経験を積んできましたが、希望していた開発業務に携わる機会がほとんどなく、技術的な成長に課題を感じていました。今後は開発経験を重ね、エンジニアとしての専門性を高めていきたいと考え、転職を決意しました。
【例文2】
現職では基礎的な保守業務を通じて、ITシステムの運用全体に対する理解を深めることができました。今後はその経験を活かし、より専門性の高い開発分野でスキルを広げていきたいと考え、転職を決意しました。
③「キャリアアップをしたい」の言い換え
キャリアアップを理由に退職する場合は、「現職では希望する成長機会が得られなかったため」というニュアンスを丁寧に伝えるのがポイントです。ただし、会社への批判に聞こえてしまわないよう注意が必要です。
「より高い専門性を身につけたい」「マネジメント経験を積みたい」といった、前向きな挑戦として表現することで、意欲的な姿勢をアピールしましょう。
【例文1】
これまでの経験で培ったスキルを活かしつつ、今後はより上流工程やマネジメント業務にも携わりたいと考えるようになり、転職を決意しました。
【例文2】
現職では特定の技術に特化した業務が多く、より幅広い領域に挑戦できる環境で自身の市場価値を高めたいと考えるようになりました。
これらに例文に加えて、自分が求めるキャリアプランや将来の自分像を明確にした上で、それもセットに伝えるよ、より説得力のある転職理由になります。
④「労働時間の長さや休日出勤がある」の言い換え
労働時間や休日出勤の多さを理由に転職を考える場合は、単なる不満ではなく「業務を効率化して成果を最大化できる働き方を追求したい」というような視点で伝えることが重要です。
働き方を見直す意図や、今後のキャリア設計との整合性を含めると、ポジティブなイメージを持ってもらいやすくなります。
【例文1】
前職は効率化が進みにくい環境で、より高い生産性を意識した働き方を実現したいと考え、転職を決意しました。成果を出しながら、ライフステージが変化しても持続的に働ける環境を重視しています。
【例文2】
前職ではシステム障害対応などによる突発的な休日勤務や夜間対応が多く、より計画的に業務へ取り組める環境で自身のスキルを高めていきたいと考えるようになりました。安定した勤務体制のもとで、着実に成果を出せる働き方を目指し、転職を決意しました。
⑤「人間関係」の言い換え
人間関係が転職理由のばあいであっても、あくまで業務の進め方や環境面にフォーカスを当てた表現に言い換えるようにしましょう。
特にSE職はチームで連携しながら分担して業務を進めることが多いため、業務上求められる「円滑なコミュニケーション」「協力体制」などを意識しながら伝えると良いでしょう。
自分自身の成長や周囲との協働を大切にしたいという姿勢を伝えることができます。
例文①:
前職では業務の進め方やコミュニケーション方法が属人的で、ディスコミュニケーションによるミスやチーム全体のパフォーマンスに課題を感じていました。円滑な連携を通じてより良い成果を生み出したいと考え、転職を決意しました。
例文②:
前職では上下関係が厳しく、自分の意見や提案が通りにくい雰囲気がありました。業務改善や技術的な工夫をチームで柔軟に取り入れていけるような、風通しの良い環境で力を発揮したいと考え、転職を決意しました。
このようなことを伝えた上で、どのようなことを意識して立ち回り業務を遂行していくのかを聞かれた際に堪えられるようにしておくと、面接官からの印象も良くなるでしょう。
転職理由の伝え方に不安のある方はエージェントがオススメ
転職理由をポジティブに伝えることが重要と分かっていても、
「どう言えば印象が悪くならないか分からない」
「本音とのギャップを感じる」
といった不安を抱える方もいるのではないでしょうか。
面接では限られた時間の中で、前向きな転職理由と志望動機を的確に伝える必要があるため、事前の準備や対策が不可欠です。
そのようなときは、転職エージェントの活用が効果的です。キャリアアドバイザーがあなたの経験や希望を整理し、転職によって実現したいことを企業側に伝わりやすい表現へとブラッシュアップしてくれます。また、企業ごとの傾向や評価されやすい伝え方のアドバイスを受けられる点も魅力です。
「言いづらいことをどう言い換えたらいいのか」「強みをどう伝えるべきか」に迷っているなら、一人で抱え込まず、プロの力を借りることでスムーズに進められるでしょう。
まとめ
SEの転職理由は、待遇やキャリア、人間関係などさまざまです。しかし、本音がネガティブな内容であっても、前向きな言い換えによって印象は大きく変わります。
ネガティブに受け取られやすい表現を避け、入社後の活躍意欲やキャリアの方向性など前向きな言い換えをすることで、面接官はあなたの入社後の活躍をイメージでき、印象が大きく変わります。
とはいえ、自分でうまく言語化するのが難しいこともあるでしょう。その場合は転職エージェントのサポートを活用するのがオススメです。
転職エージェントのサポートを受けることで客観的な視点と適切なアドバイスが得られます。後悔のない転職を実現するためにも、こちらの記事で紹介した内容を活用しながら、自分に合った方法で準備を進めていきましょう。
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