転職をしたいけど転職が怖くて一歩を踏み出せないというSEの方もいるのではないでしょうか。
元SEの僕自身も、「転職したいけど怖い」と感じていた時期がありました。
その理由は簡単で、「自分には他の企業で通用するスキルがない」から。
この記事では、まさにこのような不安を抱いているSEの方に向けて、原因の究明や解決案を紹介しています。
転職がうまくいくようにアドバイスもしているので、ぜひ最後までチェックしてください。
SE転職が「怖い」と感じるのは普通のこと
「転職したい気持ちはあるのに、なかなか行動に移せない」と悩むSEは少なくありません。何事においても現状を変えたいという思いと同時に、不安や恐怖を抱くのはごく自然なことです。
将来への迷い、自分のスキルへの懸念、変化への怖さなどの感情に押しつぶされそうになるのは当然です。
ここでは、なぜSEが転職活動に対して感じる「怖さ」について、その原因と対策を解説します。
不安を感じやすい原因
SEが転職活動に対して不安を感じやすいのは、責任の重い仕事や技術的プレッシャーに日常的にさらされていることが背景にあります。
現職で積み上げたスキルや人間関係を手放すリスクに加え、今の環境を抜け出した先に何が待っているのか見えにくい点も、恐怖心につながります。また、エンジニアとしてのキャリアは専門性が高いため、「自分のスキルは他社でも通用するのか?」という不安を抱くことも多くあるのではないでしょうか。
多くの人は、失敗を避けたい気持ちから、不安になり動けなくなる傾向があります。
「転職する=大きな決断」と捉えてしまい、慎重になりすぎて踏み出せないのです。
SEが転職に対して抱える主な不安
現職への不満があって転職をしたくても、転職によるリスクを考えると、なかなか一歩を踏み出せない人は多くいるはずです。
とくにSEという職種は専門性が高いぶん、転職後の環境や業務内容が想像しづらく、不安を感じやすいのが実情です。また、実際に入社してみないとわからない部分も多く、今より悪化するのではという懸念も生まれます。
ここでは、多くのSEが転職前に抱えがちな主な不安の理由について整理していきます。
新しい職場のスキルに適応できるか不安
転職先で求められる技術やスキルがこれまでの経験と大きく異なる場合、うまく対応できるのか不安を感じるSEは多くいます。
たとえば、現職とは異なるプログラミング言語を使えるようになるための転職では、使用する言語が違うだけでフレームワークが異なったり、周辺知識のキャッチアップが必要になったります。
求められるスキルのキャッチアップをしながら業務に取り組まなくてはいけないという、スピード感についていけるのか心配になることもあるでしょう。
特定の技術に特化してきた人や古くからある大手企業で働いている人ほど、「自分の培ってきたスキルや経験が活かせないのでは」と感じ、転職に踏み切れずにいるケースがあります。
スキルが通用しないかも…という恐れ
転職を考えるとき、「今のスキルが次の職場でも通用するのか?」という不安を感じるSEは少なくありません。
現職では評価されていても、それが他社でも通用する保証はないと考えてしまうからです。
とくに自社開発やSIerなど業務の範囲が限られている場合、扱っている言語や自分のスキルが狭い領域に特化していて、他の環境で活かせないのではないかという懸念が生まれやすくなります。
このような場合、自信の喪失に繋がり、転職に踏み出す気持ちを鈍らせる原因となります。
職場環境がさらに悪くなるのでは?という懸念
転職を考えるSEが最も抱きやすい不安のひとつが、「今より環境が悪くなるのではないか」という点です。
たとえば、給与が下がる、労働時間が長くなる、福利厚生が手薄になるなど、条件面の後退を心配して動けなくなるケースがあります。
現職に不満があっても、ある程度の人間関係や自分に合った雰囲気が確保されていると、未知の職場に飛び込むことにリスクを感じやすくなります。
転職後にミスマッチと発覚する可能性があることを考えると、「今のままの方がまだマシかも」と考えてしまう人も少なくありません。
転職の進め方がわからず不安な方は、まずは「SEの転職は何から始めればいい?未経験者でも迷わないステップを解説」の記事を確認して一歩を踏み出してみてください。
不安を減らすためにできること
SEは論理的に物事を考える傾向があるからこそ、感情面での不安に向き合うのが後回しになりがちです。
しかし、転職活動を前向きに進めるためには、自分の考えや状況を客観的に見つめ直すことが欠かせません。
ここからは、不安を減らすためにできる具体的な行動を紹介します。
転職理由(現職への不満)を言語化する

転職に対する不安の正体がはっきりしないままでは、気持ちだけが先走り、行動に移しづらくなります。そこでまず取り組みたいのが、転職したいと感じた理由や不満を言語化することです。
「なんとなく今の職場に違和感がある」「将来が不安」など漠然とした思いでも構いません。まずは紙やスマホ・パソコンのメモに書き出して、頭の中にある考えを整理してみましょう。
理由や不満が明確になると、自分が何を重視して転職を考えているのか、転職で実現したいことが見えてきます。その上で求人票を見ていくことで、自分が希望する企業から「求められるスキル」が分かります。
あとは、その企業から「求められるスキル」と、自分が持ち合わせている経験やスキルを照らし合わせましょう。
「転職の怖さ」の理由は、この「求められるスキル」と「自分の経験・スキル」のギャップであることが多いです。このギャップが大きいと「自分は転職活動をしても、きっとうまくいかないんだろうな」のような弱気な考えになってしまい、という漠然とした怖さ・不安に駆られてしまいます。
同業界・同職種で全く同じ業務を行う企業への転職を除いて、転職で希望する企業と自分の現状にギャップがあるのは当然のことです。ポイントは、そのギャップに対して下記のようなアプローチをしていくことです。
- 縮められるか
- 現状での接点・活かせるポイントを見つけられるか
- 成長意欲をアピールできるか
- ポジティブな言い換えができるか
ただ、働きながらの転職活動において、ギャップを縮めていく(独学の実で実務経験やスキルを身につけていく)のは大変です。そこで、自分の経験やスキルとの共通点や言い換えが苦手な人などは、転職エージェントの利用がオススメです。
転職エージェントでは、自分を担当してくれるエージェントがついて転職にかかる様々なサポートをしてくれます。転職に関する不安や面接に対するアドバイスなど、手厚いサポートを無料でしてもらえるので、ぜひ利用してみてください。
「転職しない場合」の未来を考える
転職への不満があるときは、今の職場にとどまった場合、1年後や3年後などにどんな状態になっているかを具体的にイメージし書き出してみましょう。
例えば、下記のようなことを考えてみてください。
- 今の不満や不安がそのまま続いた場合の心身への影響
- どのようなスキルを身につけ成長できているか
- キャリアアップは望めるか
- 不安や不満の解消は見込めるか
- とどまることで得られるメリット(収入面、人間関係、安心感など)
書き出したら、今の職場にとどまることのメリット・デメリットを比較してください。改めて見比べることで自分にとっての優先順位が明確になり、許容できることに気づけるかもしれません。
転職してから気づく人間関係や社風へのミスマッチが起きる可能性は、どうしても一定数残ってしまいます。そのため、現職に不満や不安があるからといって、転職が必ずしも正解になるとは限りません。
将来像を具体化していく過程で、「今すぐ転職しなくてもいいかもしれない」と気づくケースもあるので、今いる会社を選んだ場合の未来を冷静に見つめるてみましょう。
後悔しないように試してほしいこと
不安を抱えながら転職に踏み切るのは簡単なことではありません。焦って動いてしまうと、かえって後悔する可能性もあります。
だからこそ、すぐに転職するのではなく、まずはできることから試してみるのが大切です。
ここでは、転職を考える前に取り入れてほしい行動を紹介します。
転職エージェントに相談する
転職活動に不慣れな方や、不安やわからないことがある方は、エージェントを利用がオススメです。
専門のアドバイザーがキャリアの棚卸しを手伝い、自分に合った選択肢を一緒に考えてくれます。
自分では気づかなかった強みや市場価値を客観的に把握できるため、不安の原因を整理しやすくなります。
また、中にはIT業界に強みのある転職エージェントや、エンジニアの転職に特化しているエージェントを利用すれば、転職市場における需要や自分のスキル・経験をより詳しく評価してもらえるだけでなく、企業の生きた情報を知ることも可能です。
ブラック企業を避けたい人や、成長環境を求める人にとっても大きな安心材料になります。無料で利用できるうえ、応募を強要されることもないので、自分のペースで進めることができます。
「今すぐ転職するか迷っている段階」でも、まずは話を聞いてみるだけでも価値があります。不安を抱えたままひとりで悩まず、プロの力を借りて次の一歩を踏み出しましょう。
副業を考える
「転職したいけど怖い」と感じるときは、転職だけにこだわらず、別の選択肢にも目を向けてみることが大切です。そこで有効なのが、副業です。
最近は副業OKの企業も増えているため、副業を検討する際は、フリーランスエンジニアや副業エンジニア向けの案件紹介サービスの利用がオススメです。条件次第では、完全リモートや週1〜2から始められる案件もあるため、スキルアップや収入源の確保にもつながります。
また、実際に副業を通じて自分の市場価値を確かめることで、将来のキャリアにも自信を持てるようになるでしょう。
社内異動を考える
社内異動で部署や業務内容を変えることも、一つの方法です。
「今の会社が合わない」と思っていても、すべての職場環境や人間関係が悪いとは限りません。転職をしなくても社内における自分の環境を変えるだけで、現職への不満が解消することもあるでしょう。
怖さを感じて身動きが取れなくなったときこそ、辞めるかどうかだけでなく、どうすれば自分が前向きに働けるかを考えることで、後悔しない選択にすることができるはずです。
転職が怖かった僕が前に進めた理由
SEとして転職を考えながらも、僕はなかなか一歩を踏み出せずにいました。
スキルへの自信のなさや、客先常駐という働き方への不安、そして転職市場での自分の価値に対する疑念など。そんな不安と迷いの中で僕を支えてくれたのが、転職エージェントの存在でした。
ここでは、そんな僕自身の経験をもとに、どのように不安を乗り越え、前に進めたのかを紹介します。
僕が転職をためらっていた原因・心理状態
僕自身、転職を考えながらも「今のスキルで本当に通用するのか」という不安にずっと悩まされていました。特に運用保守の業務では、コーディングをすることが一切なく、自分はSEと名乗っていいのかすら分からなくなることもありました。
仮に開発案件に携わっていても、担当工程によっては実装経験がほとんど積めないというケースもあり、僕自身は基本設計や詳細設計部分を担当していたので、まさにそのパターンでした。
「他社に行っても役に立てないのでは」と考えてしまい、転職に踏み切れず、なあなあで現状維持を選んでしまっていました。
客先常駐で感じた将来への不安
客先常駐という働き方では、プロジェクトの契約期間が終了すれば現場も変わるため、スキルの積み上げが難しくなりがちです。実際に僕は、1年以内でプロジェクトが変わることが続き、業務の幅が広がらないことや理解が深められないことに不安を感じていました。
加えて、「先方からいつ案件を切られるか分からない」という不安定さも、精神的な負担になっていました。先方の意向ひとつで環境が大きく変わってしまう中では、腰を据えてスキルを伸ばすことも難しいです。
その結果、経験してきた各案件へは、広く・浅く・短期間の関わりだったので、「自分は⚫︎⚫︎の業務ならできます!」と胸を張って言える実務スキルがないことが非常にコンプレックスでした。
自分の市場価値が上がっている実感が全く持てず、転職活動への怖さとは反対の、「このままここで働き続けていていいのか?」という将来への不安も強くなっていきました。
転職エージェントを利用して気づけたこと
転職エージェントに相談したことで、自分では気づけなかった強みや、これまでの経験がどんな仕事に活かせるのかを客観的に知ることができました。
話を丁寧に聞いてくれる中で、「自分の経験って意外と通用するんだ」と感じられたのは非常に大きな安心材料でした。
また、キャリアの棚卸しを手伝ってもらったことで、SEとしての選択肢だけに縛られていた自分に気づくこともできました。実際、僕は最終的にWebマーケティングという新たな興味のある職種を見つけ、その道を選びました。
エージェントのサポートがあったからこそ、「何がしたいのか」を冷静に見つめ直すことができたと思っています。
まとめ
転職が「怖い」と感じることは、決して弱さではありません。むしろ、将来を真剣に考えているからこその自然な感情です。特にSEという職種は専門性が高いため、「今のスキルが通用するのか」「環境が悪化するのではないか」といった不安を抱きやすくなります。
この記事で紹介したように、不安の原因を言語化し、行動の選択肢を広げていくことで、少しずつ前に進むことができます。
副業や社内異動、エージェントの活用など、転職以外の選択肢も視野に入れながら、自分に合ったキャリアを探していきましょう。
僕自身も転職活動を通じて、「SEとして続ける」以外の道に気づくことができました。大切なのは、自分の軸と向き合いながら、少しずつでも行動を始めてみることです。
コメント